詩の神

ハリー>へぇ?君が演劇だって?似合わないよ。

ベラナ>10日間で200キロ歩いてきたわりには、やけに元気じゃないの。そりゃ道が整備されていて休憩所や宿泊場所があるなら1日30キロでも移動できますけどね、補給もなし、食料や水を調達しながらじゃかなりの強行軍だったはずよ。それによくここがわかったわね。

ハ>なんだよ。やけにつっかかるなぁ。じゃあ言わせてもらうけどさ、どうして僕だけポッドに載せたんだい?デルタフライヤーがまだ使えると踏んでいたなら2人の方が修理しやすかったわけだし、逆に逃げるつもりならポッドはまだ他にもあった。

ベ>じゃあどうしてあんただけ逃げたわけ?上官の命令だから?今までのヴォイジャーのやり方ならこういうときは命令を無視するんじゃないの?

ハ>原始的なこんな場所の医療レベルじゃ、命を落としてもおかしくなかったんじゃないかい。熱が出たから血を抜くだって?腕の静脈から?感染症になったらどうするんだい。効果的に止血はできたのかい?体が弱っているときの出血は致命傷になりかねないぜ。

ベ>あたしだけじゃないわ。警戒が厳重で見つかると殺されるなんて言っておきながら、ここの連中は簡単にダイリチウムを盗んでくるし。そもそも、いくらコンソールが生きていたからといってもそう簡単に原住民に日誌やデータを抜かれるなんて。

ハ>冷静になろうよ。強行軍ってのは確かにそうだったさ。ただ、200キロっていうのはちょっと誇張しただけだよ。ポッドには非常用の食料その他が当然積んであるし、全壊寸前のデルタフライヤーと違ってこっちはうまく着陸できたし。唯一の心残りは、デルタフライヤーの近くに着陸できなかったってことだな。上空の電磁気のせいで船影を見失っちゃったんだ。地表に降りてからは、このトリコーダーが非常に役に立ったよ。

ベ>なるほどね。ポッドの方は、正直言ってあんただけでも生きて欲しかったからよ。そういったら絶対行かなかったでしょ。

ハ>うん。僕ももう6年も経験を積んでるんだけど、こういう緊急事態でのタフさが足りないのかなぁ、君の剣幕に負けてポッドに乗っちゃったんだ。

ベ>あたしの怪我はね、クリンゴンだから助かったのよ。クリンゴンの臓器は非常に冗長性が高くて、どこかおかしくなってもなかなか死なないようにできているわけ。

ハ>じゃあ、最後にあの原住民のことは?

ベ>殺されるより好奇心の方が勝ったのね、彼詩人だから。まぁ、データを見られた件は、連邦のコンピュータのヒューマンインターフェースがよくできすぎているからよ。これまでも結構違法アクセスを許している気がするけど、セキュリティが甘すぎるのね。ユーザーに過剰にサービスしているというのがよくわかるわ。それはさておき、結局私たちは、この惑星の住民にとって神だったってわけね。

ハ>なるほど。うまくオチが付いたな(^^;)

♪ちゃんちゃん



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