よき羊飼い

チャコティ副長>お帰りなさい、艦長。羊はどうでした。

ジェーンウェイ艦長>なんとか群に引き戻せたんじゃないかしら。でもね、チャコティ。

チ>なんでしょう。

ジ>あなた、一歩進んで考えたことある?なぜ羊飼いがいるか。

チ>それは、狼などから羊を守ったり、羊がはぐれて迷い小屋に帰れなくなるのを防止するためでしょう。

ジ>そうね、でもそれはなぜ?

チ>え、それ以上の意味があるんですか?

ジ>考えてごらんなさい。羊飼いは本質的に家畜の世話をしているに過ぎないのよ、慈善事業ではなく。

チ>まあ、そうですね。

ジ>ということは、究極の目的は羊の利用に他ならないのよ。もちろん、毛を刈って加工したり、乳を搾ることも多いでしょうが、それ以上に屠殺して食べるのが第一目標よね。

チ>はぁ。

ジ>私は結局彼らをいいように利用しようとしているのかしら。

チ>羊飼いと羊という立場なら。

ジ>そうね、それはいかにも西洋的なものの見方ね。神と人間に一線を引く。

チ>ああ、わかりました。私たちネイティブ・アメリカンはそうですし、東洋の思想もそれとはちょっと違います。対立の構図ではなく、融合・共生の構図なんです。神と自然、人間と自然が混然と存在すると考えるんです。

ジ>そこなのよ。私の目的は彼らを扱いやすい羊にしようとしているんじゃない。彼らをうまくいけば羊飼いにしたいと思っているのよ。

チ>すばらしい。しかし。

ジ>なに?

チ>その話はアルファ宇宙域に戻るまでやめましょう。

ジ>なぜ?

チ>この船で艦長が何人もいたらたまらないですから。それこそ、羊飼いの羊飼いが必要になってしまう。

♪ちゃんちゃん



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