太陽系を例に考えると、例えばまともに居住可能な惑星として考えるのは内惑星(小惑星帯より内側の、水星、金星、地球、火星)くらい。さらに、これらを対象としてテラフォーミング技術(星を改造し、居住可能にする技術。地殻、大気、海洋等を対象として非常に膨大な資源を投入する必要があることは想像に難くない。既にある砂漠や荒野を耕し直すのとは違い、根本的に地殻変動、大気循環、酸素発生のための植生の確立等が要求されるからだ。)が適用可能なのは恒星からの放射がある程度の程度に収まる(暑からず、寒からず)金星、火星くらいだろう。
インパルスドライブによる速度がどの程度であるかはどこにも明確な言及がない(推力四分の一とか推力二分の一といった表現しかでてこない)が、これを使ってまがりなりにも惑星間の移動を行っている様子からは、それなりの速度が出ているはずだ。というのも、居住可能な惑星が地球と同等の公転軌道上にいるとすると、その惑星間を移動するためには平均的に地球と太陽の間くらいの距離を移動する必要があり(惑星直列でもしていない限り、至近の惑星間を直線で結んだとしてもこれくらいは移動する可能性がある)、これは500光秒くらいを移動する必要があるということだ。(地球−月間の距離でさえ表面間で約1光秒ある。)
これを光速に近い速度で移動したとき、船内時間は静止している銀河時間に対し遅れが生じる。(ローレンツ短縮)ざっと計算するとこのようになる。
速度(光速に対し) | 船外から見た所要時間 | 船内の経過時間 |
10パーセント | 5000秒 | 497秒 |
90パーセント | 556秒 | 218秒 |
99パーセント | 505秒 | 71秒 |
100パーセント(ワープ1) | 500秒 | 500秒 |
なお、ワープ航行中は普通に通信していることから、静止時間と同じ時間経過があるものとした。
これならどのフライトプランでもそう無理はなさそうである。
もう少し遠いところを考えてみよう。
何らかの理由でこのような通常空間の移動を長時間行う必要が生じたとする。例えば救助を待つ21光時(光で21時間かかる距離。太陽−冥王星間の4倍くらいの距離))先にある基地にインパルスドライブで24時間以内につく必要があるとすると、光速の90パーセントで23.3時間、99パーセントで21.2時間と大差なく間に合うようなフライトプランを立てると、船内ではそれぞれ20.9時間と3.0時間が経過していることになる。前者はまだしも、後者は銀河時間との差が激しすぎるし、これではまともに通信で話することすらできないはずだ!まともに浦島効果を受けて、浦島太郎になってしまう。
速度(光速に対し) | 船外から見た所要時間 | 船内の経過時間 |
10パーセント | 210時間 | 20.9時間 |
90パーセント | 23.3時間 | 9.2時間 |
99パーセント | 21.2時間 | 3.0時間 |
100パーセント(ワープ1) | 21時間 | 21時間 |
これらから推測すると、エンタープライズ号のインパルスドライブにおける通常航行速度は90パーセントくらいが妥当だということになる。
(しかし、「速度」と「推力」は本来別物のはずだ。なぜ艦長はいつも推力でパイロットに指示するのだろうか?海の上の船の習慣がそのまま残っているのだろうか?海の上の船ならノッチで推力を指定しているようだから...)
名前 軌道 (000 km) (km) (kg) ------------ ------ -------- ------- ------- 太陽 697000 1.99e30 木星 太陽 778000 71492 1.90e27 土星 太陽 1429000 60268 5.69e26 天王星 太陽 2870990 25559 8.69e25 * 海王星 太陽 4504300 24764 1.02e26 * 地球 太陽 149600 6378 5.98e24 金星 太陽 108200 6052 4.87e24 火星 太陽 227940 3398 6.42e23 ガニメデ 木星 1070 2631 1.48e23 + ティタン 土星 1222 2575 1.35e23 + 水星 太陽 57910 2439 3.30e23 + カリスト 木星 1883 2400 1.08e23 イオ 木星 422 1815 8.94e22 月 地球 384 1738 7.35e22 エウロパ 木星 671 1569 4.80e22 トリトン 海王星 355 1353 2.14e22 冥王星 太陽 5913520 1160 1.32e22太陽系「いちばん」リストより