連邦宇宙艦ヴォイジャー 最高巡航速度ワープ9.975。普通なら1シーズン1年、1,000光年進めるらしいです。いつも7万光年、70年と言っていますから。(注)でもとりあえず計算にはあまり考慮していません。それ以外で進むことが多いので。
今回のコラムをまとめるにあたり、今まで全然気づいていなかった大事なことがありました。ヴォイジャーの速度と地球に帰れるまでの時間の関係です。これまで漠然と70,000光年、70年とだけ考えていたのですが、実はこれはヴォイジャーの速度と矛盾があったのです。
VOY:CARETAKERで出てきますが、ヴォイジャーの最高巡航速度はワープ9.975です。最高巡航速度の原語はsustainable cruising velocityというわけで、維持可能な巡航速度となっています。ということは、この速度はずーっと出し続けるだけの能力を持っていることになります。もちろん、実際には燃料補給の問題や、機械の定期保守、故障等への対応の課題がありますが、準軍艦ですから常識的に考えて数年は少なくともメンテナンスフリーで飛び続けられるはずです。
ところが、後に説明しますが、ワープ9.975というのは5,000光速以上なんです。ということは、単純計算では70,000光年を12年2か月で渡りきってしまうことになります。70年なんて、とてもかかりません。
確かに前述の通り、実際には燃料補給や機械の保守、イオン嵐や戦争地域の迂回など、ノンストップでまっすぐ飛ぶわけには行かないでしょうが、ヴォイジャーはとにかく「早く家に帰りたい」はずなので、10数年ですむところを70年もかけるというのは人間の寿命から考えると合理的ではありません。(現在若くて20歳としても、着く頃には90歳となって人生を棒に振ってしまう!そもそも、まっすぐ飛んで帰ろうとしても70年かかるようなことを言ってませんでしたっけ?)逆に70年かかるためにはワープ8(1,024光速)程度が妥当ということになります。これなら68年4か月程度かかるわけです。
というわけで、このヴォイジャーシリーズの根幹に関わる重大な設定について、未だに合理的な結論に至っていません。
さて、もう一つの問題はワープファクターと光速の関係です。もともとTOS時代はワープファクターの3乗が光速という単純な関係でした。これがジーン・ロッデンベリーの意向によって変更になりTNGでは速度無限大がワープファクター10になりました。ところが、いくつかの正式な資料(TVシリーズそのもの)/準正式な資料(Encyclopediaをはじめとするオフィシャルなガイド)では、このTNG時代の数値関係が明記されておらず、いくつかのポイントでの数値が示されているだけです。例えば、
ワープファクター | 光の速さの何倍か |
---|---|
6 | 392 |
8 | 1,024 |
9.2 | 1,649 |
9.9 | 3,053 |
9.99 | 7,912 |
となっています。ちなみに、エンタープライズDは最高巡航速度ワープ6、最高速度ワープ9.6だそうです。実はこれらにうまくフィットする数式を作ろうとすると、非常に難しいのです。この対応を一つの数式で表すためにいろいろな式が考案されました。私の知っている限りでは、ネットニュースでの議論が盛んで、その様子がWarp Velocities FAQ(ネットニュースrec.arts.startrek.techなどをとりまとめたもの)にまとめられています。現在のところもっとも精度のよい式はWarp Velocityで提案されています。これからいくと前述のヴォイジャーの最高巡航速度ワープ9.975は5,754光速に相当することになります。
これを見ていて思い出すことがありませんか?こんななぞなぞがあります。
どんな難事件でも1時間で解決してしまう名探偵ってだーれ?そうです、1時間枠のTVミステリードラマみたいなんです。当初70年かかると言いながら、第6シーズン、6年で道半ばまで来てしまいました。これはまるで、7シーズン7年の枠のせいで解決してしまうミステリーみたいではありませんか。(笑)
本国ではすでに放映が終了しているようですが、日本も2年弱の遅れで故郷へ向かっての航行が順調に進んでいます。これからもヴォイジャーの冒険から目が離せません。
最近スーパーチャンネルで放映されたVOY:PATHFINDERはいろいろな意味で大事なエピソードでした。ここでヴォイジャーと艦隊司令部との相互連絡のことがVOY:MESSAGE IN A BOTTLE以来再度扱われているのですが、ここで艦隊司令部はヴォイジャーの平均航行速度をワープ6.2と見積もっています。これを前述のWarp VelocityにあるWarp Calculatorで計算するとワープ6.2は約438光速です。VOY:MESSAGE IN A BOOTLEからほぼ2年分、約1,000光年を足しても出発点から11,000光年しか移動していないと艦隊司令部は考えているはずです。しかしこれは短すぎます。実際には37,000〜40,000光年移動した位置にいるはずです。それにもかかわらず、同エピソードで艦隊司令部がヴォイジャーの概略位置を把握してしまうのは変です。
こんな単純で、しかもストーリーの根幹に関わるところを間違えているはずがありませんので、今後も調査を続けたいと思います。
スタートレックマガジンでは(補足資料)U.S.S. VOYAGER's Journey(STTM JUNE 2000 VOLUME 1 ISSUE 14より)(この項は雑誌掲載記事をそのまま要約しています。私の意見は入っていません。記事にライターの署名はありません。) 要旨: まずはじめに、オカンパからガンマ宇宙域のワームホールに向かわなかったのは、地球に向かうのと大差無かったことと、ドミニオンの情報が断片的に伝わり始めた時期だったから。 リック=スターンバック(ヴォイジャーのシニア・イラストレータ兼テクニカル・アドバイザー)によれば、最高巡航速度9.975というのは12時間しか維持できないらしい。(訳・要約者注:ちょっと短すぎると思う。)巡航速度はワープ6だそうだ。さらにこの速度でも燃料補給やエンジンの冷却(訳・要約者注:機械屋の常識からすれば普通の機械は冷却機構が組み込まれているはずだし、それが効かなくなるまでこそが「維持可能な」連続運転時間のはずなので、エンジンの冷却が必要だというのは変。)、消耗部品の取り換えが必要だし、さらに周囲の科学調査も行うとなればもっと遅くなるはずだと言う。 だがこれではあまりにも遅いということで、1年に1,000光年というところに落ち着いたらしい。つまり巡航速度をワープ8と設定しなおしたことになる。 さらに言えば、Dark Frontierではボーグキューブを避けるために余計な2年、 The Ravenでボマースペースを迂回するために3箇月、Year of Hellでより最適なコースにすることで5年節約などといったエピソードからわかるようにコースによって必要時間がかなり変動するらしい。 さて、これまでの6年間で単純計算で6,000光年、The Giftでケスから9,500光年、Hope and Fearで量子スリップストリームにより300年、Nightでワームホールにより2,500年、Timelessで量子スリップストリームにより10,000光年、Dark Frontierで盗んだトランスワープコイルにより20,000光年、Voyager Conspiracyで亜空間カタパルトにより600光年。これらを合計すると48,900光年進んだことになる。 再びリック=スターンバックによれば種々の遅れや迂回を考慮にいれても故郷まであと30,000光年ではないかとのこと。 もし30,000光年というのが正しいとなるとあと1,500光年かそこらでそろそろベータ宇宙域ではないか。 |
低速巡航ワープ速度 7.75 16日間(LOW-CRUISE WARP FACTOR)と明記されています。ワープ9.975は巡航速度というより緊急速度という感じのようで、これまでの疑問がかなり解けました。やっと納得、ということかな。
高速巡行ワープ速度 9.25 2.25日間(high-cruise warp factor)
ダッシュ巡航ワープ速度 9.975 12.65時間(dash-cruise speed of Warp
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